私は忘れたよ‥

若い頃ならこのまま涙を堪えて、家をとびだしたりしたのかもしれないが、そうしたとしても帰ってこないといけない。

帰る場所はここしかない。

私には帰れる場所がここしかない…

芯壱はなにも言わずに夏のいる寝室に閉じこもった。

義姉はなにも言わずに水で濡らしたハンカチを頬に当てるように渡してくれた。

私の頬は別に痛くもなかった。

芯壱の手前やってくれたパフォーマンスなのかもしれない。

芯壱をかばって、私をかばってくれたのかもしれない…