私は忘れたよ‥

貴子さんは
「どうして?いつもは自分でやるじゃない」
と言ってきた。

いつもの喧嘩を売られる前触れを察知したのだが本当に手伝ってもらわないと進まない今日の私は「本当に忙しくて…お願いできないでしょうか?」
と下手に出て申し出た。
「いつもは頼まないじゃないの」
とまだ言ってきたので
少しカチンときた。

「いつもは頼まないですけど…」
このやり取りがまだ続くだろうとわかっていた。貴子さんはまずこんなやり取りを楽しむのだ。

時間を短縮したい私は、もう一度上手な言葉で伝えようと頭を引っ掻き回したが相当する言葉が見当たらずに諦めた。


「本当はこれ…事務員の仕事なんですよ。もういいですけど。こんなことやってる間に終わりそうな仕事ですし」
と不機嫌に冷静に言ってデスクに戻ると、貴子さんが追いかけてきた。
「やるわよ」

一体何なんだこの女…


「いいんです、貴子さんは貴子さんの仕事してください。すいませんでした。」

「やるわよ」
となぜか怒っているくせに楽しそうな顔をして言っている…