ーガラガラ

大樹と他愛もないことを話しながら教室に入る。
早すぎるのでもなく、遅刻ギリギリでもない時間なので教室には自由な空気が流れている。

「三上くん、山本くんおはよう」
席につくと、僕の隣の席の竹田里沙子が声をかけてくれる。

大樹は僕の前の席だ。

「「おはよう」」

「三上くんと山本くんが一緒に入ってくるってことは、三上くんの自転車のパンクは直ったの?」

竹田の質問に大樹がにやにやしながら、

「それがさぁ、春之のやつ、電車ですんげぇ美人見つけたっつってそれからずっと電車通学してんの!自転車のパンクなんかいつでも直せるのに。春之も色気づいたなぁ!」

僕の肩に手をまわしてくる。
僕は一気に赤面だ。

「へぇ〜。三上くんがそこまで気に入る美人って見てみたいなぁ」
竹田も大樹にのってにやにやしてくる。

「だ、大樹が話しを盛ってるだけだから!竹田も大樹のことひょいひょい信じるなよ・・・」

「あははは!春之かわいい!ごめんな!」
大樹は肩にまわした手で、笑ながらばしばし叩いてくる

大樹が悪気があっていじったんじゃないことはわかってる。でも、

「別にー・・・。謝るようなことじゃないし」
やっぱり、大丈夫さ!とか言って笑って流せない。流せるようになりたい。

僕が口をとがらせながらそっぽを向いていると、

「三上くんが気に入った美人ってどこの学校の子なのー?」
竹田が目をキラキラさせながら尋ねてきた。