初めて「彼女」を見たとき、僕は「彼女」を人間だとは思えなかった。
あまりにも顔が整いすぎていて、何かの神話から出てきた女神だとか天使と思った。
「彼女」は間違いなく自ら発光していた。僕にはそう見えた。
なんで他の人は「彼女」をみてなにも反応しないんだろうと不思議でたまらなかった。
ここまで言っておいて、僕が変態チックでストーカーっぽいけど、ただ毎朝「彼女」を電車で見かけると携帯ごしに、視界の端に入れているだけなのだ。
「彼女」が視界の端にいるだけで、僕は朝の気力のチャージができる。
だんだん人が増えてきて、「彼女」が視界から消えてしまった。
それでも僕は充分だ。
僕が「彼女」に抱く感情は恋愛とか愛情ではなく、尊敬とかあこがれそういうのだと思う。
もし「彼女」が男であっても僕は毎朝眺めていただろう。
存在するだけでだれかをこんなに引き付ける力、純粋にすごいと思う。
電車内には街に近づくにつれ人がどんどん乗ってくる。
学生の僕が座席に座っているのが申し訳なくなってくるが、今更立っても余計に車内が狭くなるだけだし、もう少しで下車する。
僕が通っている学校は街のすぐ近くにある。
公立高校なのにこんな土地の使い方していいんですかって思うような都会の真ん中にどんと構えている。
ちなみに「彼女」が通ってる学校は僕の学校の近くの駅の一駅先にある。
