「じゃ、私、此処だから」 私の家の前まで着き、振り返らずに玄関まで向かった。 「じゃ、また明日な!」 そう後ろで島田の声が聞こえたかと思ったら、そのすぐ後、バタバタと遠ざかってゆく足音が聞こえた。 ふいに、その方へ振り返る。 あの人は、きっと何処までも真っ直ぐな人で。 私があの人に追い抜くことも追いつけることさえも、きっとできやしないんだろう、ってそう思った。 ―――...夕闇に消えていく彼の姿を、私は見えなくなるまで見つめていた。