だけど、そんな安らいでいた心は、家に着いたら欠片もなく消えてしまう。 家の前で、お母さんの車が車庫にあるのを確認すると、心はどんどん暗雲に包まれていくばかりだった。 家の中に入り、「ただいま」と独り言のように呟く。 「おかえり」というあたたかい言葉はそこにはない。 お母さんがいても、静かな空間だけが私を迎える。