叫ぶ暇なんて、なかった

黒と白のバイクが見えたかと思うと



一瞬にして周りが真っ赤に染まった。

茜色の空のせいかな?


視界が真っ赤だよ
真っ白じゃなくて、真っ赤。


赤くて


赤くて



「きゃぁあぁああぁ」

私が叫ぶ代わりに誰かが叫んでくれた
張り裂けそうな声


あのパパと同じだ

死の運命には逆らうことは出来ないってこと?


どうせ私は死ぬ運命なの?

私を跳ね飛ばした黒バイクは急いでその場から逃げた


待ってよ

なんで?

なんで追いていくの?


私、貴方に殺されかけてたんだよ?
走れなくなるの?

待って


待ってよ…


視界が、真っ暗になった