私は触れたことのない手。
握ったことのない手。
それなのに愛の手は
簡単に握るんだ…。
ひどいよ。
しかも私の目の前で。
にっしーは何がしたいの?
私を苦しめたいの?
もう、不安になるのは遠慮だよ。
「普通の恋人」になりたい。
普通のことがしたい。
私たちは普通のことすらできていないから。
「…あ…」
気づけば愛は戻って来ていた。
「愛、何言われたの?」
「んと…あいつ何で怒ってんのって、言われた…。俺あいつに何もしてないのにって。詩織のことだよ」
怒ってなんか、ないよ…。
ただ、不安になっただけで…。
