俺にしなよ。


「…稜が目覚めるのには、詩織が必要なんだ。だから…付き添っててやってくれ」


拓斗にそう言われ、小さく頷いた私は静かに病室を出る。

そして、西崎の病室へ向かった。


…ガラッ…。


やっぱり、起きてない。

「…っ……」


窓を開けて外の風を入れる。
空気がひんやり冷たくなった。


「風、気持ちいいでしょ…?」

話しかける。
もちろん応答はなくて。



「寒くなったら、言ってね?」


くるはずもない応答を待つ。


力の抜けた手。
開かないまぶた。
笑わない口。

ねぇ、西崎。

今何してるの…?
何考えてるの…?