しばらくして

「お待たせいたしました」と店員さんは洋服を持って来てくれた。

「ありがとうございます」

「試着しますか?」

私はあまり試着をするのは好きではない。

でも今日は着てみないと。

似合わなかったら嫌だし。

「じゃあ試着します」

「はい。どうぞこちらへ」

と試着室に案内された。

試着室へ入り着替えてみる。

自分では似合っているのかどうかよく分からない。

そこへ「お客様いかがですか?」と店員さんの声。

「はい」とカーテンをゆっくり開けた。

「どうですか?」と恐る恐る店員さんに聞いてみる。

「良くお似合いですよ」と笑顔で答えてくれる。

「変じゃないですか?」

普段は着ない洋服を選んでしまったので鏡に映る姿に違和感を感じていた。

「サイズもピッタリみたいですね」と店員さん。

鏡の自分の姿を見ながら、迷いに迷って「これをください」と店員さんに告げる。

やっと決まった。

お会計を済ませ店内の時計を見てビックリ。

ここに来てからもう2時間も経っている。

車に乗り込み、家へ帰る。

家に着き夕食を食べていた時、携帯が鳴った。

(あ、メールだ)

携帯を開き、見ると稲葉さんからだ。