しばらくすると、階段を上る音が聞こえてきた。

「萌?いるんだろ?あけて。」


この声・・・。
和葉だ・・・。


「・・・何?」


私は和葉を部屋に入れて、ベッドに座った。


「今日。なんで先に帰ったの?」

「・・・気分的に。」

「ウソだろ。」

「・・・もう待たなくていいよ。」


私は涙が出ないように、必死に声を出した。


「なんで?」

「今日聞いちゃったの。和葉。2時間待ってたんでしょ?」

「・・・・。」

「そんなウソついてまで待たなくていいから。」

「そんなだったら・・・。お前だって・・・。」


和葉は何かを言いかけやめた。


「何?」

「・・・流真と話してたそうじゃん。」

「それは慎吾の友達だったからだよ。」

「軽蔑しなかったのか?」

「私をそんな人だと思ったの?」


そう聞くと和葉は黙った。


「私を疑うんだ。私は和葉だけなのに・・。あの子達の言葉を信じるんだ・・・。」

「そんなこと誰もいってないだろ。」

「言ってなくても同じだよ・・・。とにかくもう待たなくて良いから。」


私はそういって、部屋を出た。


ドアの前で声を押し殺してないた。


私だってわかってる。
すべて和葉が悪いわけじゃないこと。


でも、・・・頭でわかっても・・・心がわかってくれない。


自分の気持ちがわからないの・・・。