「・・・俺はあきらめないぜ。」

「・・・そう。」


私たちは静かになった。


「ちょっと!!気まずくなったら元も子もないでしょ!!」


杏奈の言うとおりだ。


「そうだよね!慎吾!」

「おう!」


みんないつもどおりだった。

たった一人を除いて。


「あ、俺の友達がなぜか理事長の紹介で入ってきたんだ。仲間に入れてやってくれるか?」

「もちろん!」


返事をしたら、後ろから声がした。


「ここか?慎吾のクラスは?」

「あ、流真。久しぶりだなあ。」

「・・・流真?」

「なんだ、萌。知ってるのか?」


私は動きが止まった。

まさか再開するとは思ってなかったから。
しかも、同い年とは・・・。


「あ、あんたこの前ないてた・・・。」

「う、うるさい!!自己紹介!礼儀でしょ!」

「・・・流真。苗字なんか必要ないだろ。」


この上から目線・・・。


この人がお母さんと弟さんを・・・。
考えられない。

だってこんなに優しい目をしてるのに・・・。


「お前は?」

「私は、萌。この子は杏奈。」

「萌と杏奈か。よろしくな。萌、ちょっと来いよ。俺の正体を教えてやる。」

「は?」


そういって連れてこられたのは、空き教室。


「何?」

「俺の正体は、母親と弟を殺した、殺人犯だ。」

「知ってるよ。」

「は・・?だから近寄らないほうが・・・。」

「そんなの私には関係ないよ。あの時、お墓にいたとき助けてくれたのは事実だから。」


私はそういって教室を出た。