「じゃあ学校行ってきますね。」

「和葉、今日講義休みだろ??」

「あぁ。帰り迎えに行く。」

「ありがと。」


いつの間にか家族も同然になった私たち。

喧嘩もしたことなかったんだけど…。


「ただいまで…」

「だから!!意味分かってんのかよ??」

「分かってるから言ってるんじゃん。」


中から、航さんの怒鳴り声と少し低い葉月さんの声。


「お前さぁ。ちゃんと考えろよ。」

「考えてるし。航こそしっかりしろよな。」

「あの…!!どうしたんですか…??」


私はたまらず2人の前に行った。


「葉月が会社を辞めたんだよ…。」

「え…」

「…何かと思ったら。」


和葉も加わり激しくなった…。


「あの…。仕事なんてゆっくり決めればいいと思いますよ…??」

「…萌は考え方が甘いんだよ。社会人になれば分かる。」


低い航さんの声に身体をびくつかせる…。


「…おい。萌ちゃんに八つ当たりすんなよ。」

「…でも航が言ってる事は正論でしょ。」


……。


「…ごめんなさい。」


私のせいで分裂してしまった…。


「なんで萌ちゃんが謝るんだよ??」

「私が分裂…」

「そんなの関係ないよ。大丈夫だから。」


葉月さんは私の頭を優しく撫でてくれた。


「あ…」

「…萌に触んな。」

「和葉…??」


何言ってるの…??


「私…和葉と…付き合ってるわけじゃないし…」

「…そう。」


和葉は冷たい目をして部屋に入っていった。


私も部屋に入った。


目に涙をためたまま…。