次の日、まだ少し肌寒い朝を感じながらゆっくり登校していた。
「さむっ。・・・あの人にブレザーを掛けたままだ。置いていってるかな。」
私は、男の人にブレザーを掛けたことを少し後悔していた。
でも、それが私たちの運命の歯車を動かしていた。


「咲希、お、おはよ。」
「なにあんず。何で、そんなに寒そうなの。」
「実は・・・」
私は、昨日何があったかを咲希に話した。
「ふーん。・・・ドンマイ。」
「もう~、他人事だと思って!」
咲希ったら、相変わらず冷たいんだから~。
はぁー、ブレザーどうしよ・・・。

「咲希、お弁当先に食べてて!私、昨日の所行ってみる。」
「分かった。」
昼休みになり、私は急いで校舎裏に行った。
パタパタ・・・
渡り廊下を走っていると・・・ドンッ!
「きゃっ。」
横から出てきた人にぶつかった。
「いたたた・・・。あの、すみません!」
私は、ぶつかった人に慌てて謝った。
すると、ズイッとぶつかった人の顔が近づいてきた。
「あ、あの、な、な、ナンデスカ?」
緊張して、片言。
「あぁ、やっぱり。」
その言葉とほぼ同時に、何かが私の顔の前を埋め尽くした。
「え?・・・」
「これ、あんたのだろ?」
そう言って、もう一度それを私に見せる。
よく見ると、それは私のブレザーだった。
「あっ!私の!!!」
無事に帰ってきたことにホッとする。
でも、何で・・・?
顔に出ていたのか、
「昨日起きたら掛けてあって、誰のか分からなかったからポケットを探らせてもらった。」
そう言うと、ポケットから私の生徒手帳を出した。
「あ~、なるほど。それで、私の顔が分かったんですね?」
「そおいうこと。」
うわ~、綺麗な顔。昨日は、顔なんて気にしてなかったけど今、改めて見るとこの人凄くかっこいい!!
「お前、1年なんだな。」
「へ?・・・あ、はい。」
危ない危ない。ボーっとしてた・・・
「あの、・・・」
ギュルギュルギュル・・・・・・
「え?」
声をかけようと思ったら、何とも笑える音が鳴り響いた。
「・・・・・・・。腹、減った。」
「ぶっ!!!」
ダメだ。我慢してたのに・・・!
私は、堪えきれず爆笑した。