卒業式 当日。
みんな別れを惜しんで泣きながら会話をしている。

私は、一人その中をとぼとぼ歩いていた。



ふと見ると、光がいた。


「…ひかっ」


光の元へ駆け寄ろうとして足をとめる。

友達と仲良さそうに笑う光を遠くからみつめ、


そっか、光はお友達いるもんね…


そう心の中でつぶやき回れ右をする。


「香音ーっ」

「光?」


光の声がして振り向く。

そこには、息を切らした光の姿。

「香音っ」

光はまっさきに抱きしめてくれた。


「光…」

私は、光の心を預かるかのように光に身をゆだねた。


ふと光の腕の力が弱まる。

光を見上げると、

「俺らの愛の証っ」

そういって私の指にリングをはめてくれた。

光は自分の指を見せて『ペアリング』と言うとニコッと笑った。

「高校違っても、愛してるからなっ」

そういってはにかむと走っていった。


私は、光の背中を見送った。



その後ろ姿の光は、耳まで真っ赤になっていた。