俺様幼なじみと甘々生活!?【完】

「裕樹君と手、つないだの、久しぶりだなぁ」

「……そうだったな。確か、お前、泣いてたよな」

「そうだったっけ」

「何で泣いてたのか覚えてねぇけど……ただ、そのときはお前、わーわー泣いててさ、慰めるのも必死にやったけど、全然泣き止まなくて。仕方なく手を引いてお前の家に帰ったんだよな」

「全然、覚えてない……。ぼんやりと覚えてるだけで」

「そうかよ……。俺、すげーがんばったんだぞ……」

「ごめんね」



声のトーンからして、よっぽどの思い出だったんだろうと思ったら、つい謝っていた。


そんな日があったんだ……。

なんで私、泣いてたんだろ。



「あのとき、思ったわけだ。もう、お前の泣き顔は見たくねぇってな」

「そっか……。ありがとう」

「だから、お前も泣かないでくれよな」

「も、もうそんな歳じゃないもん!」

「そりゃ、助かるわ」



でも、なんだか切ないよ。

この手がいつか、また離れてしまうんじゃないかって。


そう思ったら、裕樹君の手を強く握りしめていた。

このたったの一瞬も、大事にするように……。