「とりあえず、熱、計ろう」

テーブルの上にあった体温計を、裕樹君に渡した。


「……36度。大丈夫そーだね」

「治るのは早いからな」

「何それ、自慢?」

裕樹君のセリフに笑ってしまった。


よかった、ホントに大丈夫みたい。

安心した……。


 ──そーいえば、裕樹君は昨日のこと、覚えてるのかな。


「ねえ、裕樹君。昨日の夜のこと、覚えてる?」

「昨日の夜? ……覚えてないけど、何かあったのか?」

「そっか。別に大したことじゃないの。ごめんね」

覚えてなかった。

じゃあ、あれは熱のせいだったんだ。