「ん、裕樹、君……」

その愛しい声で、俺を呼ぶな。

いつか、理央の全てを壊したくなる衝動に駆られてしまうから──。


撫でる手を止めて、離す。


そして、理央の顔を見つめる。


今だったら、キスしても……いいよな。


昔は、コイツの寝起きは悪い。

もし、昔のままなら。


 ──て、昔も、コイツが寝てるときにキスしたんだっけな。

懐かしいな……。


なんて思い出に浸りながら、理央の唇にキスした。

そしてやっぱり、コイツは起きなかった。


 ──裕樹君side END.