× × ×


「ただいま」

やっと家に着いた。


なぜか帰り道は気まずくて、ずっとだんまりしてた。


「あら、おかえりなさい。あ、裕樹君とも一緒だったの?」

「うん。ちょうど、裕樹君も自主練、終わったみたいだから」

「ありがとうね、裕樹君」

「いえいえ。ホント、偶然ですから」

裕樹君は爽やかな笑顔で言った。


相変わらずすごいな、この演技……。


「でも、めずらしいわね。もっと帰ってくるの、早くなかった?」

「え?」

そうなの?


私は、裕樹君を見た。