× × ×


「結局、入ることにしたんだ?」

「あぁ」

家に帰って、サッカー部に入部するのかを聞いた。


「意外と楽しかったしな」

「そっか。よかったね」

雄一君に話しかけられたし、私もうれしかった。


「何となく、判った」

「え?」

「お前の好きなヤツのこと。アイツ、いいヤツだな」

「う、うん」

雄一君のこと、わかってくれたんだ。

うれしい……。


「アイツのどこが好きなわけ?」

「え? えっと……、優しいとこかな? まだ、ちゃんとしたことはわかんないし」

私は顔を赤くする。


裕樹君は黙って、話を聞いてた。


「ふーん」

しばらくして、裕樹君はそっけない返答をした。


「ま、俺に関係ないしな。おやすみ」

「え」

裕樹君はさっさとふとんを敷いて、眠ってしまった。


 ──『俺に関係ないしな』。

なんなんだろ。

あの、トゲのある言い方。


私、変なこと言った?


 ……ううん、裕樹君が質問してきたんだし。


でも。

なんで、こんなにモヤモヤとした感じがあるの?


 ……いいや、寝よ。


ベッドに向かって、ふとんに入る。


目を閉じて眠ろうとした。

だけど、こんな中途半端なままじゃ、眠れない……。