「裕樹君は部活、入るの?」

「俺? ……どーすっかな」

放課後になって、校内を適当にふらつきながら話す。


すると、サッカー部が見えた。


あ……、雄一君だ。


私の目には、雄一君が真っ先に映った。


「お、森山じゃん」

「えっ!?」

雄一君が私の存在に気づいて、こっちに走ってきた。


雄一君が私に気づいてくれた……。


「あれ? ……あー、噂の転校生か。俺、溝端」

「雄一」

「え。何で」

「よく理央から話、聞いてるから」

裕樹君は涼しげな顔で言った。


ひっ、裕樹君!

そんなこと、バラさないでよー!


私が動揺してると、雄一君は笑った。


「そーなんだ? ちょっとうれしいかも」

「えっ?」

う、うれしい?

それって、どーいう意味?


「名前、何だっけ?」

「柿原裕樹」

「じゃあ、柿原。サッカー、やんない?」

「俺が?」

私がきょとんとしてる間に、2人がどんどん先を進んでく。


「別に苦手とか、嫌いとかないだろ?」

「まあ」

「今日は体験ってことでさ。練習に混ざれよ」

雄一君は裕樹君を誘うように、グラウンドに戻る。