「夢じゃねぇんだよ……。夢でたまるか」

「うん……。夢じゃないんだよね……」



私だって、夢であってほしくないよ。

こんなに暖かくて、力強くて……優しいこのぬくもりが嘘であってほしくないから。



「泣き止んだか?」



顔を上げれば、涙のあとを優しく拭ってくれる裕樹君の表情は切なくて、でもどこか幸せそうに微笑んでいた。



「裕樹君……。ありがとう。これからもずっと一緒にいてね?」

「当たり前だ……。もう、絶対に離さねぇから」



私は目を閉じて、裕樹君の幸せそうな微笑みを走馬灯のように、反芻した……。