「理央? まだ裕樹君、起きない……あら」



いつまでも降りてこない私たちを心配して、母が部屋に入ってきて、口元を抑える。



「朝から仲いいのね〜」

「言ってないで助けてよ〜。遅れちゃうんだから!」

「はいはい。裕樹君、起きて」



今度はお母さんが裕樹君を起こすと、腕の力が緩んだので、私はその隙に逃げ出す。

お母さんたちにはすでに報告済みだから、何も言わない。

けれど、逆にそれが困ることになるとは思ってもいなかった。



「裕樹君!」

「え? あっ、はい! 起きます!」



裕樹君は私のときとは違ってすんなり起き、さっさと布団を畳んだ。



「じゃあ、支度したら降りてきてね」

「はい」

「分かったー」