「昔、近所に住んでた男の子が帰ってきてね。あのときは優しかったのに、久しぶりに会ったら、俺様になってたの」

「ふーん? んで、弥生の冷たい態度に怒ってたと?」

「ちょっと。それ、どういう意味?」

真悟君は真剣な顔で言いつつ、弥生をチラッと盗み見た。


一瞥(いちべつ)されたことに気づいた弥生は、真悟君をにらむ。


「まあ、人間なんてそういうモンだって。な?」

真悟君は私を諭(さと)すように、私の肩を叩いた。


真悟君まで、弥生と同じことを言う……。
似たもの同士だなぁ。


「あ。そういえばさ、なんか、転校生が来るらしいぜ?」

真悟君は自分の席に戻る途中、転校生のことを思い出して、こちらに振り向いた。


「え、転校生?」

「ああ。かなりのイケメンだってよ」

うわ、なんか、イヤな予感……。


そんなよくない予感を感じ取ると、悪寒してきて、私は小さく身震いした。


「チャイム、鳴ったぞ。席に着け」

先生が教室に入ってきて、すでにチャイムが鳴っていたことに気がつく。

話に夢中になっていたせいだ。