可愛くて誰よりも不器用な彼女。


それがオレが大好きな押田静ちゃん。



残念ながら彼女はオレを心からうざがってるけどね。



でもそれでもいいんだ。



「そのヘラヘラした笑いやめてくんない?」


今日もプリプリ怒ってる静ちゃん。


小柄な彼女が肩を上げて怒る姿は、失礼だけど全然怖くない。


むしろ威嚇してる猫のようで手なずけたくなる。


きっと餌をあげても噛みつかれるだけだけど。



「あたし、今一人になりたいんだけど」


「どうして?」と聞くと、静ちゃんはイライラした様子で睨んできた。



「は?あたしは一人の時間を作る為に、わざわざ、アンタに理由を答えて了解を得なきゃならないの?」


オレが何か言う前に静ちゃんは「うざ」と文句を言った。



「そーじゃないけど…」


とオレが口をつぐんで色々と考えてると、静ちゃんはさっさと歩いて行ってしまった。



オレはその後ろ姿を黄昏ながら見送った。





「本当、うざいね~」


横から首を掴まれ、オレの体は変な方向に傾いた。



「いててて」と悶えると上から笑い声が聞こえる。