健二が壇へのぼりっきって、陸の元へと向かう。
緑は複雑そうな顔で陸を見ている。


そのときあたしは確かに聞こえたんだ。

「頑張れ!俺は応援してる!」

と健二に声をかけたところを。

ふと安心してしまう自分に嫌気がさす。
何考えてるんだろ、あたし。




「さて、健二!どうぞ!!」




会場が馬鹿みたいに静かになって、健二は言う。




「俺は、緑の頑張り屋で、気配りなところに惚れた。周りも緑が好きだってやつがたくさんいて、俺じゃとても無理だって思ったけど、今回の機会で言うわ。…好きです。もし、俺のことスキになってくれそうなら…付き合ってくださいっ。」




真っ赤になって右手を出す。
可哀想だけど健二、緑はその手を出さないよ。

あたしには見えた。
緑の目線の先には、
陸がいた。