「あのね....私もそのくらいから
有のこと気になってたんだ....」


麻耶は気まずそうに笑う。


「私、焦っちゃってさ。
絶対に有は譲れないって、
一人で勝手に盛り上がっちゃって....」


「そっか.......」


「私が有と付き合うことになって、
優奈は私のこと憎いとか思ってるのかな?って、
思っちゃったり....」


麻耶は今にも泣きそうな顔をしている。


「憎いなんて思うわけないじゃん。
ってか、先輩を想う気持ちは偽物だったんだって、
最近気づいたの」


「.....え?」


麻耶は不思議そうな顔をしている。


「先輩を見た時のどきどきと、
晴を見た時のどきどきが違うの。
晴を見ると胸がぎゅっと苦しくなる。
先輩の時はそんなことなかった」


先輩への想いはただの憧れだったのかもしれない。


「そりゃ、麻耶たちが付き合いたてのころは
苦しかったけど、そこまでじゃなかったし」


そして何より.....。


「もし私が先輩と付き合ってたら、
晴とは出会えなかったと思う。
だから、私は先輩と付き合ってなくてよかった。
先輩と付き合ってるのが、麻耶でよかった」


これが本当の気持ち。


麻耶の目からは大粒の涙がこぼれる。


私たちは3時間目が終わるまで、トイレでずっと語っていた。