「矢野っ、じゃなくて晴!?」


私の後ろには晴が立っていた。


「今日は遅かったね」


晴はいつも、満員電車を避けるために、
1本早い電車の乗ってくる。


私もそれに合わせて、1本早い電車の乗ってくるんだけど、
今日は晴の姿が見当たらなかった。


「あ?あぁ。ちょっとな..」


そう言って晴は自分の席に座り、
机に突っ伏した。


あ、私と晴、席となりじゃん。


しばらくして、晴の寝息が聞こえてきた


ね、寝てるし.....。


満員電車に乗ってきたんだもんね。
そりゃ、疲れるよね。


キーンコーン.....。


チャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。


「席つけ―。HR始めるぞー」


2-6の担任、楢崎先生は数学の先生。


「あれ?そこで寝てんのは誰だ?」


先生が晴を指さす。


「矢野くんです」


席がとなりだから、私が答えた。


「矢野か。えっと、お前..」


「牧原です」


「じゃあ、牧原。矢野起こしてやれ」


「はーい」


先生は次の話に移った。


私は晴の体を揺する。


「晴、起きてっ」


晴は起きない。


「はーるっ。HR始まってるよ」


まだ起きない。


私は晴の顔を覗き込んだ。


「矢野くーん」


すると晴の目がぱちりと開いた。


そして私の唇の軽くキスした。


「!?」


「あ、矢野起きたか?」


先生が私に聞いてきた。