矢野に連れられてやって来たのは、
夕陽の見える丘だった。


「うっ…………わぁ…」


私はあまりの綺麗さに、
言葉を失った。


「きれいだろ?
ここ、俺のお気に入りスポット」


矢野はそう言って、近くあったベンチに座った。


「お前も座れば?」


「あ、うん」


私は矢野の隣に座った。


妙に緊張する。


手、繋いだままだし……。


かと言って、手を振り払うわけにもいかない。


振り払った後が怖いし………。


矢野を見ると、夕陽が矢野の顔を照らしてる。


………………綺麗。


てか、矢野ってイケメンだな……。
なんか色々と整ってるし。


私はつい矢野の顔をまじまじと見てしまう。


「キスして欲しいの?」


矢野は、私の視線に気付いたようだ。


「へ!?」


あまりにも間の抜けた声だった。


「ははっ……お前、その声どっから出してんだよ」


矢野は笑った。


私は矢野の笑顔にときめいてしまった。


ギャップがぁぁぁぁぁ!!
ギャップ激しすぎるっ!!
何それ、計算してんの!?


胸がきゅっと締め付けられる。


私、矢野が好きだ。


好きすぎて、泣きそうになる。