「俺、今は真夏が好きだ」

「何~?あたしに、真夏が好きなこと、宣言

してくれてんの~?ラブラブなことは、わか

ってるよ?」

「…日向にさ、言っておきたかったんだよ。

俺、真夏と付き合うきっかけ、日向を諦める

ためだった」

「えっ?」

好きになったから、付き合ったんじゃないっ

てこと?

「今は、真夏が大事だ。だから、しっかり日

向から吹っ切れるために…言いたかった。真

夏にも、吹っ切れてこいっ!!って、言われて

んだよ」

…真夏、相変わらず、アンタは良い奴だ。

「じゃあ、吹っ切れちゃって!!」

「観覧車、最後に乗ろうか」

「うん」

観覧車が最後かぁ…ロマンチックじゃん。

この遊園地の観覧車は、一周11分あるらしく

て、まぁ…並んでる時間を含めれば、30分く

らいだろうか。

並んでる時間は抜いて、その11分って、長い

のか、短いのか、あたしにはわからない。

けど、大輔との最後のデートと思われる、こ

の11分間は、大切な時間だ。

観覧車に乗り込んで、あたしが先に席に座る

と、大輔はあたしの隣に座ってきた。

「大輔~?こんなに広いんだからさ、もっと

ゆったり座ろ~よ~?」

「…悪ぃ。隣、座らせて?」

「まぁ、いいけどね~」

なんでいきなり、大輔は隣に座りたがったん

だろう。

何か、悩みとかあるからなのかな?

「日向」

「ん~?」

「俺さ、晴輝や京介のこと、勘違いしてた。

あいつらは不良だし、喧嘩とかすげぇ強いか

ら、性格も、すっげぇ悪いと思ってた」

「えっ?」

「だから、付き合ってる頃、そんな奴らと、

日向が仲良くするのは、ダメだと思った」

「えぇ!?」

京介たちって、不良なの!?

喧嘩、強いの!?