pipipipipipipipi…

…ケータイが鳴ってる。

「おい、誰かケータイ鳴ってんぞ」

…ヤスの声がする。

「俺じゃねぇよ。京ちゃんじゃない?」

美月の声もする…

あ…あたしのケータイだ。

ケータイ…あった。

…京介のせいで、ほとんど動けないよ。

「…もしもし」

『日向、お前どこにいんの?』

…お兄さん?

「えっ?」

『どこにいる?』

「友達の家…」

…お兄ちゃんが、珍しく怒っている。

『今日雨だろ!?それに、熱は!?』

「…あたしが一人だったから、面倒見てくれ

てて」

あたしが電話をしている音で起きたのか、京

介が不思議そうな顔をして、見ている。

『電話くらいしろよ!!家帰ったら、日向いな

くて、すげぇ焦ったんだぞ!?』

「お兄ちゃん、出張は?」

『お前が心配で、早く終わらせてきた』

「ごめんなさい。心配かけて」

『許してやるから、どこにいるか教えろ』

…ここが、どこって?

「迎えくるの?」

『当たり前だろ?』

…どうしよう。

今、ここにはあたしを除くと、男しかいない

上に、京介、はる君、美月はいいとして、ヤ

スや徠斗が見つかったら、髪型見ただけで、

お兄ちゃんが、ふたりに失礼なこと、言っち

ゃうかもしれない。

みんな、良い人なのに、ひどいこと言われち

ゃうかもしれない。

『日向、そこどこだ?』

「…言えない」

言えるわけないじゃない…

傷つけたくないもん。