「…はぁ」

ヤスが心配だ。

しっかり、ヒロと話…できてるかな?


―Buuuuuuuu Buuuuuuuu


…メール?

京介から?

滅多にメールなんか、しないのに。

【しっかりヤス、支えてやれ】

…バーカ、優しい奴め。

【ヤスのことは、任せて☆】


―Buuuuuuuu Buuuuuuuu


【お前も、無理すんなよ】

「…優しいんだから」

あたし、なんか不安なんてなくなったかもし

れない。

10分くらいして、ヤスが出てきた。

…良かった、傷はない。

「…ヒロが、お前と話したいってよ」

「え?」

「話してやれよ」

「うん」

とは言ったものの…やっぱり、緊張する。

「…失礼します」

深呼吸してから、中に入った。

「初めまして、日向ちゃん」

「初めまして、ヒロ…さん?」

「ヒロでいいよ」

「じゃあ、あたしは日向で」

初めて会ったヒロは…金髪で、顔は厳つかっ

たかもしれないけど、すごく良い人そうだっ

た。

「ヤスと…仲直りできた?」

「うん。あいつ、出所したら、アイス奢れっ

て言っただけだったから」

「…良かったぁ」

「俺、日向のお陰で…仲直りできた」

「ヤスはきっと、ずっと前から、ヒロと会い

たかったんだと思うんだ。仲直りできて…良

かったと思ってるんだ」

「…あの女とは、別れて正解だった」

「えっ?」

あの女と、いつ別れた…?

「俺が捕まる瞬間…あいつに、別れて、あん

たみたいな男、あたしはいらないって言われ

た。あんな奴…別れて正解だった」

「は…?」

びっくりし過ぎて、声出ないんだけど。

「あれから…ヤスに悪いことしたって、後悔

して。俺はずっと、自殺行為を繰り返してた

んだ」

「自殺行為?」

「壁に何度も頭ぶつけたり、尖った鉛筆を首

に刺してみたり…色々やったけど、いつだっ

て死ねなかった」

よく見れば…ヒロの額は、ちょくちょく凹ん

でるし、首にも黒い点がいくつかある。

…自殺までしようとしたんだ。

「少年院に入った上に、ヤスを傷つけた。俺

は、救いようのないクズだった」

「うん」

「でも、今はしてねぇんだ。自殺行為」

「…どうして、やめられたの?」