「何か違ぇことあんなら、殴り返せよ!!」

「……ってぇな…」

口の中が血の味になる。

目が…上手く開かねぇ。

「ヤス…!!」

「……んだよ…」

「てめぇ、俺のこと裏切ったのか?!」

「…違ぇよ」

「じゃあ…殴り返せよ!!」

「……俺にも…悪ぃことがあった…」

上手く話せねぇし、口が痛ぇ…

「ふざけんな」

後ろ襟も掴まれ、動けねぇ…

首に痛みが走る。

…痛すぎて、言葉になんねぇ。

背中に、血が伝う感触があって、気持ち悪ぃ

よ。

「お前のこと、親友だと思ってた!!」

ヒロに叫ばれる。

「俺だって…」

クソ…首の後ろが痛くて、話しにくい。

「ふざけんなっ!!」

その瞬間、力の抜けていた体は飛ばされ、頭

と足を強く打った。

「…いってぇ!!」

痛すぎて、言葉に出来ねぇよ!

意識が薄くなっていく中、俺の耳には、パト

カーの音が聞こえてきた。

…パトカー?

もしかしてっ…

あの女の姿はない。

…あいつだ、通報したのは。

「ヒロ…逃げろ!!」

このままじゃ、ヒロは傷害罪で捕まる。

「逃げろ~!!」

叫んだ瞬間、俺は意識を飛ばした。