『な、なんだ!なにがおかしい!』
凛音は笑う優を見て顔を赤くした。
『い、いや・・凛音にも子供っぽいとこもあるんだなぁって・・。』
優はそれでも笑っていた。
実の所、凛音にも人間と同じ所があるとわかり嬉しかったのだ。
『ほら、食べようよ。』
優は凛音を座らせてカステラを一つ渡した。
『凛音にも知らないこともあるんだね。』
優は一口カステラをかじった。
『まぁな。時代の流れを全て見るのは難しい。建物や服、政治やさまざまな事件のほうがわかりやすい。しかし、こういった食文化はよく見れない、見逃している部分が多いんだ。だが、これで一つこの時代がみえたな。』
凛音はカステラをかじった。
『甘くてふわふわしているな。初めての体験だ。』
『ふふっ。やっぱり、初めてのことになると子供みたいだよ。』
凛音は再びカステラの観察を始め、優はそんな凛音を楽しそうに見ていた。
それから半年がたったある日、優は友達と近所の空き地に集まっていた。
優達は一ヶ月に一度同級生で集まることがあった。
『なぁ、みんな知ってるか?神社の少女の話!』
一人の少年が全員に聞いた。
『俺知ってるぞ!家も金もない少女が一人でいるんだろ?』
また一人の少年が手を挙げ、得意げに話した。
『それって「時咲神社」のうわさでしょ?』
『!!』
一人の少女の言葉に優は固まった。
(薄々そんな気はしてたけど、「時咲神社」・・・。凛音のいる神社だ!)
優は急に凛音の様子が気になった。