それからというもの優は毎日のように凛音の所に来ていた。

『ねぇ。凛音ってさ、服とかどうしてるの?』

優は家から持ってきた団子をかじりながらきいた。

『いきなり何だ?』

『いや。気になったから。』

凛音が怪訝な顔をしたため、優は苦笑いで返した。

『全てもらい物だ。くれたものばかりだ。ちなみに・・・』

凛音は桜の木にあいた大きな穴から何かを取り出した。

『ちゃんと川で洗濯もしている。そのときはこっちを来ているがな。』

凛音は手に持っていたものを広げた。

それは綺麗な赤い着物だった。

『えっ・・・。ってことは服、それしかないの?』

『こんな服はな。』

優の驚いた声とはうらはらに凛音は自分の服を見てさらっと言った。

『それって困るんじゃ・・・。』

『まぁ、それなりに困るな。』

凛音は困っているそぶりもなく、着物を穴へと戻した。

そのまま、その日は別れた。

翌日、優はあるものを持って凛音の所へ向かった。

『はい。今日のおすそわけ。』

優はいつものように凛音に箱を渡した。

『・・・なんだ・・・これは?』

箱を開け、中身を見て首をかしげた。

『何って、カステラだよ。知らないの?』

『あ、あぁ。初めて見た・・・。』

凛音はまじまじとカステラを観察していた。

その姿に優は笑ってしまった。