『そうだ。それがどうした。』
『えぇーーー!!』
優はまさかの事実にまた驚きの声をあげた。
『うるさいな。静かにしろ。』
少女は耳をおさえた。
『あ、ごめん・・・。で、でもさそれでも名前はいるよ。』
優は真剣に少女を見た。
『なぜだ。名がなくても困ることはないだろう。』
『あるよ!』
優は少女の腕を掴んだ。
『だって君だって生きてるんだから。名前がなくちゃ寂しいよ。』
そして再び笑った。
少女は優の思いもしなかった言葉に驚いた。
『そんなことを言っても無いものはな『ねぇ、僕がつけてもいいかな?』・・・お前がか?』
少女は優の申し出に不思議そうな顔をした。
『そう、友達の印にさ。』
優はどこか嬉しそうだった。
『・・・・はぁ、勝手にしろ。』
『やったぁ!』
少女があきらめたようにつぶやくと、優は喜びの声をあげた。
『なぜそこまで私を気にかける。』
帰ろうとしている優に少女はふと問いかけた。
『そんなの決まってるよ。』
優は振り返り
『君がすごく寂しそうに見えたから。』
とまた笑った。
そして「また明日」と駆けていった。
『変わった人間だな。』
少女はそんな優を呆れた表情で見ていた。
しかしその目にはどこか期待の心もあった。

