少女はその少年が自分に気がついてないとわかり、少年の前に飛び降りた。

『うわあぁぁ!!』

少年は驚き、声を上げ固まった。

『臆病な人間だな。これ位で驚くな。』

少女は呆れた顔で少年を見た。

『普通は驚くよ!いきなり人が飛び降りてきたら!』

『私に気づかぬお前が悪いのだろう。』

少年はそう訴えるも、少女はさらりとかわした。

『そういえば君、ここら辺じゃあ見ないね。どっかから来たの?』

少年は少女の顔をまじまじとみた。

『いや、私は一ヶ月前ほどからここにいる。お前が知らないだけだ。』

『えっ・・・、そうなの・・・?』

少年の気の抜けた弧緒に少女はため息をついた。

『それじゃあさ、友達はいるの?』

少年はさらに少女にせまった。

『そのような者もいない。第一、町へ出たこともない。』

少女は鬱陶しそうに少年から離れた。

少年はその話に目を丸くしたが、

『それなら僕と友達になろうよ。』

と笑った。

『なぜ私がお前と仲良くしなくてはいけないのだ。』

『だって、そんなの寂しいでしょ。だから。』

少女は怪訝な顔をしたが、少年は相変わらず笑っていた。

そして

『ぼくは杉崎 優(すぎさき ゆう)、よろしく。きみの名前は?』

そうてを差し出した。

『私に名はない。「神」という称号だけで十分だ。』

少女の言葉に優は再び固まった。

『えっ・・・、神・・様・・・?』