初めて先輩に出会ったのは、去年の桜が満開の時期だった。 “あれ?ここどこだろう?” 入学式当日、方向音痴な私は広い校舎の中で迷子になってしまった。 “早くしないと、入学式に出られない!” 慌てている私の頭上から聞こえてきた、小さな声。 上を見ると、桜の木の枝から降りれなくなっている子猫。 にゃーにゃーと鳴く、か弱い声につい足を止めてしまう。