古谷さんの背後に視線をやると、古谷さんの仲良しグループがこちらの様子をうかがっていた。

 どうやら会議の上で私を誘うことが決定したらしい。

 私に対する風当たりは、時を追うにつれて少しずつ薄れてきていた。

 私の絵は、ここ最近でレベルをあげている。

 一年生の中でも一目置かれる存在となっているのだ。

「私たち、これまで西口さんに悪いことしていたなと思って。よかったらお弁当、一緒に食べない?」

 考えてきたらしいセリフを一息に言うと、古谷さんは返事を待った。

 クラスメートにしてはよそよそしい態度。場を覆うのはピリピリとした緊迫感。

(いきなり噛みつくとでも思われているのかな、私)

 そんなことをぼんやりと思った。

 私はできるだけ満面の微笑みを浮かべる。

「誘ってくれてありがとう。でも、ごめんなさい。私、ちょっと今日は用事があるの」

 古谷さんは残念そうな、それでいてどこかホッとしたような表情を浮かべる。

「そ……そう、残念ね」

「ごめん。またよかったら誘ってね」