いわれのない中傷に、カッと顔が熱くなる。私は声を張り上げた。

「違います! 私は誓ってそんなことはしてないっ!」

「どーだか。大人しそうな顔をしてよくやるわね。あんた、目障りだよ」

「あんたなんかが野間野先輩と話しているのを見ると虫酸が走るんだけど?」

「野間野先輩のお父様は、あの有名な絵描きの野間野 悟朗なのよ。技術だってセンスだって、あんたなんか足元にも及ばない!」

「春の優秀賞は何かの間違いだったんだから、調子こいてんなよ」

 言い返す言葉が見つからない悔しさに、ぐっと唇を噛み締める。

 彼女らが言っていることの正しさは、痛いくらいによくわかっていた。

「わかってるよ。私なんて野間野先輩には勝てないって」

「ははっ、よくわかってんじゃん」

 嘲笑うように言ったクラスメートを、私はグッと睨みつける。

「でもいつかは追い抜いてみせる。春の優秀賞は私が自分の力で取った! あなたたちにどうこう言われる筋合いはない!」

「なっ……」

 私の反撃を予想していなかったらしく、同級生たちは困惑する。

 しかしその困惑は、一瞬にして憎悪へと形を変えた。