第12章 旅の終わり・・・
シンゴ、また見つけてくれたね。

シンゴなら、見つけてくれると思った。

あの晩、シンゴに会えたのには驚いた、けれど凄く嬉しかったよ。
大好きなシンゴに抱かれて、本当に幸せでした。

シンゴは、嫌かも知れないけれど、私の人生で、ただ一度だけの恋でした。

シンゴ、大、大、大、大好き。

ユウやブーちゃんも大好き。

てっちゃんも大好き。
母さんも。

さようなら、隊長。

泣いたら、ぶっとばすよ。

見つけてくれて、本当にありがとう。
                藤川綾乃
・・・涙で文字が滲んでいた。

僕は哲二から聞いたあやのの墓に向かった。
墓石もまだ無く、木の墓標だけの小さな墓だった。
納骨されて幾日も経っていないので、供えられた花も、線香の燃えさしも生々しかった。
丘の上に立つ墓から、海が見えた。

遠くからオルガンの音と子供たちの歌声が聴こえている。

僕にとってもあやのは、初恋の相手であり、もしかしたら、今までの人生で唯一の恋人だったのかも知れない。
僕は子供の頃のように一気に丘を駆け下りた。

                          (了)