「早乙女樹里だよ? 教えたよね?」




はぁ…と溜め息をついた工藤君は
髪をくしゃっとかきあげて


「…名前で呼んで」



恥ずかしそうに、でも、しっかりとあたしの目を見て言った。



「へ? あ、時雨君…って?」



「ん……俺も樹里って呼ぶから」



「う、うん…」



じゃあ、と言って帰っていった時雨…君を見送ってから家に入った。



うー…まだドキドキしてるょ……



『樹里』



そう呼ぶ時雨君の声が頭の中で何回もリピートされていて……
放れてくれない。



メール……頑張ろうかな?


そう思ってケータイを手にした。