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土砂降りの雨が町を濡らす。


なんとか間に合って、私はバスに乗り込んだ。



ザァァァ…



世話しなく滴りおちる雫に目をあわせた。


何か言いたげにゆっくりと窓を伝う雫が一粒。



その中に、私がぼんやりと写って、歪んだ。




びしょ濡れの髪をタオルで拭いていると

上から声が降ってきた。



「すごい雨ですね」



若い男の声だった。


心地の良い低めの声に、私は少しだけ顔を上げた。



私と同じ学校の制服を着た、背の高い細身の男だった。