【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐



その言葉に山ちゃんはますます驚いた顔をした。

だけどすぐ、「そっか」と小さな笑みを浮かべた。




「んじゃ、邪魔者は消えるよ。
残念だなぁ、これからご飯食べに行くとこだったのに。
綾ちゃんまた今度ねー」


ひらひらと手を振って笑いながら、山ちゃんは校舎の中へと戻っていった。




「…あ、の…桜庭さん?」


綾ちゃんが俺を見て困ったような顔をする。

その顔を見つめて、小さく言う。


「…俺は多分キミが好きだから、だからこのままにしとくのは嫌だった」


…山ちゃんと行く綾ちゃんを、見ていたくなかったんだ。




「多分、なんですか?」


俺の言葉に綾ちゃんが笑う。




「…まだ、多分だよ」

「…そっか。 でも、好きって言ってもらえて嬉しいです。
やっと私、先輩のタイプになれたってことですもんね?」


にっこりと、安心したような顔の綾ちゃん。

その顔に、ズキズキと心臓が痛む。




「…ごめん、アレは嘘なんだ」

「え?」


「“あの時”の言葉は、その場しのぎのテキトーなものだったんだ」




“スタイル良くて可愛くて笑顔が素敵な子。
俺が好きなのは、キミとは正反対の子かな。”




…あの時の俺は、いつもみたいにけらけら笑ってた。

綾ちゃんの気持ちなんて全然考えずに、ヒドイコト言ったんだ。