「っ、華夜っ!?」 「ちょ、結人くん!」 結人はあたしに気づいたらしく、マキコと重なっていた唇を素早く離した。 もう、離したって意味ないのにね。 「……あ、あたし…――っ」 その場の空気に耐えれない。 鼻の奥がツンとして、 視界が霞むのが分かった。 「ごめんっ!俺っ―…」 あたしは結人の声を聞きたくなくて、姿を見たくなくて、 カバンを強く握りしめて、 その場から逃げた。 「華夜っ!!」 遠くで結人があたしの名前を叫んでいる。 もういいや。なにもしらない。