「おい、咲…?」
私はギュッと涼を抱き締める。
「……私、涼ともっと一緒にいたい。
涼のそばにいたい」
変だよね。
私たち、18年も幼なじみしてるのに、
こんな風に思うなんて……。
これが、特別な“好き”ってこと……?
「…それだけ?
咲は俺と、そばにいるだけで良いの?」
「ゔ……」
涼の腕が、私の背中に触れた。
「………私の“初めて”、もらってくれるんでしょ?
私も、涼の“初めて”が欲しい。
お願い……
涼の“初めて”、私にちょうだい」
言って、急に恥ずかしさが込み上げてくる。
な、な、何言って、私……
「…ハハッ、何だよそれ、すげーセリフだな」
涼が可笑しそうに笑って言った。
「なっ…?!涼だってそう言ってたじゃない!」
涼が肩を掴んでそっと身体を離すと、私の顔を覗き込む。
「こっちはずっと、我慢してやってたのに」
「…え?我慢して…」
その時。
涼の唇がそっと重なる。
そっと、触れるだけの優しいキス。
「…“焦ってない”なんて、ウソに決まってるだろ。
ホントは、すぐにでも咲を俺のものにしたかった。
……だけど俺だって初めてだから…
どうしたら良いかわかんねぇんだよ…」
涼がどこか恥ずかしそうに、照れたみたいに視線をそらした。
……そっか。涼も同じなんだ。
私たちはお互い手探りで…わからないことばかりなんだね。

