「……ったく、
何してんだよ、お前…」
涼がしゃがみこんで、私と同じ目線になった。
う、うぅ…涼…やっぱ呆れてる…。
「だ、だって……涼があの子に襲われると思ったら、なんかもう必死で……
涼の貞操の危機を守らなくちゃって思って……」
「は?テイソー?何言ってんだよ。
つーか襲われるワケねーだろ。
あんな女より、俺のが力あんだから」
「そうだけど…、
だけどあんな可愛い子に迫られたら、男なら誰だって嬉しいに決まってるじゃない!」
私がそう言うと、涼の手が私の頬を挟んで掴んだ。
「ゔ、ゔゔ〜〜」
私はタコちゅうのような口で、声にならない声を出す。
「咲、お前俺のことバカにしてんの?」
「はなしなさい〜」
私は涼の手をほどいて言った。
「え、エッチな本は許す!」
「…は?」
涼が不振な目で私を見る。
「…エッチなビデオだって、たまになら見たって良いから…」
「だ、だからあれはユージたちが勝手に……」
「…だけど、だけど他の子はダメ!
他の子とあんなことしちゃ、絶対いや!」
…涼は“物”じゃない。
そんなこと分かってる。
だけど、抑えられないの。
涼を独り占めしたい。
涼を好きになればなるほど、そんな思いが強くなる。

