Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜



「涼に触らないで!

離れて!離れてよぉ!」


何かもう、必死過ぎて気持ちがぐちゃぐちゃだった。

子どもが駄々こねてるみたいだって分かってる。


こんな取り乱して、大人げないって分かってる。



…だけど、冷静では居られなかった。




涼が他の女と…って思ったら悲しくて、


そんなの絶対に嫌で……


今まで抑えていたものが爆発したみたい。



「ちょ、いい加減にしろよ、この…」


その時、アユミの手が大きく振りかぶった。



“ぶたれる…!”




そう思って、私は咄嗟にギュッと目をつぶる。


だけど何も起こらなくて、私はそっと瞳を開けた。



「はっ、離して…!」



涼がアユミの腕を掴んで止めていた。


その表情はどこか呆れているようで、小さく息を吐く。




「アユミ先輩…

こいつ一応俺の女なんで、手出さないでもらえますか?」



涼の言葉に、彼女の顔がカッと赤くなった。


“涼……”


「ばっ…バカじゃないの?!

何なのよあんたたちっ…勝手にすれば?!」


アユミはそう言って涼の腕を振りほどくと、教室を飛び出していった。




アユミが廊下を走る音がだんだん小さくなり…



聞こえなくなった途端、私は全身から力が抜けたようにその場にしゃがみこむ。



「……はぁぁ〜〜……」



ずっと息を止めていたわけじゃないのに、私は大きく息をついた。




……わ、…私、何やって……