掲示板の横にあった大学敷地内の地図を頼りに、実験棟に向かった。
近づくにつれ、学生の姿もまばらになり辺りが静かになってゆく。
“…どこ…?涼…っ”
実験棟の出入口を探して建物の周りを走っていると、ふと2階部分に人影が見えた。
涼とあのアユミって子が、ちょうど教室に入って行く。
私は慌てて出入口を探した。
…ダメ、ダメ、ダメ…っ!
涼があんな女に奪われるなんて……
そんなの………
「だ、ダメーーーっっ!!!」
私は涼たちが入っていった教室のドアを思い切り開けてそう叫んだ。
「!!」
薄暗い教室の隅で、服をはだけて肩を露わにしたアユミが、
涼に迫るような様子が目に飛び込んできた。
「なっ!なに!?」
「咲…」
アユミが驚いて、慌てて服で体を隠す。
私は彼女に近づくと、その肩を掴んで涼から離れさせた。
「離れて!涼から離れて!!」
「なんでここにアンタがっ、
ちょ、離してよっ!」
アユミも負けじと必死で抵抗した。
「涼に触らないで!涼は、私の彼氏なんだから!!」
私はアユミに向かって、そう怒鳴る。

