Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜



……なに……?

…今、何て言った……?



私のことはともかく、あの子…


涼をモノにするって…





涼が、狙われてる??!!





た、大変!!



あんなおっぱいに迫られたら、涼だってきっと我慢出来ないよ!



そんなのヤダ!!





私はまたその場から走り出した。








“モタモタしてると、別の女に涼ちゃんさらわれちゃうかもよ?”





お姉ちゃんの言葉が頭に反芻する。



…やだ、やだよそんなの。


涼、私を“初めての女にする”って言ったじゃない…


私の初めて、俺がもらうって言ったじゃない!




男なら、約束守りなさいよ…!







私は涼を探して、大学校内を走り回った。


途中、また涼の友達に出くわす。


「あれ、彼女さんまだ居たんすか?」


「涼は?!涼はどこ?!」


私は飛びつくように聞いた。



「涼ならあの後彼女さん追いかけてって…会いませんでした?」

「え……」


うそ、すれ違い…?



「お待たせ…ってあれ、涼の彼女さん」



その時、もう1人の友達がやってくる。


「あ、俺ユージって言います。コイツはヒロキ。

涼とは幼稚舎から一緒で、くされ縁みたいなもので」



「…あぁ、私は…」


「咲さん、ですよね。涼がそう呼んでたから」


「うん…そう」



「涼とは付き合い長いけど、さっきみたいな涼、初めて見ましたよ」


「え?」


私は2人の顔を見た。


「その、なんていうか…照れてる?っていうか…

普段どんな女の子の前でも表情変えないあいつが、咲さん追いかける時はすごい形相だったしな」


「そうそう、珍しいもん見たよな」

ユージくんとヒロキくんは顔を見合わせて頷いた。




……そうなの?


きっとユージくんたちは、私の知らない涼をいっぱい知ってる。

だけど、私しか知らない涼もあるの…?

私にしか見せない表情もるの……?



「そういや涼なら、さっきアユミ先輩に呼び出されて、実験棟に行くって言ってたけど」

そのヒロキくんの言葉に、ユージくんが驚いて声をあげた。



「えっ、お前、何でそれ早く言わねぇんだよ!

咲さん、探してたのに」

「あ、そうだったんすか?スミマセン…」

「てゆーか実験棟って…ヤバくね?!」


「どうして?」


私はユージくんの顔を見上げて聞いた。



「いや、あそこは、夕方になるとほとんどひと気がなくなるから…

カップルがコッソリHするのに穴場だってセンパイが……」


「?!」


え、え、え、エッチ?!!


校内で、コッソリ、え、え、えーー?!



気が付いたら私は、また走り出していた。